ANAホールディングスとJoby Aviation、大阪万博で「Joby S4」デモ飛行を実施—空の移動革命に向けた一歩—

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ANAホールディングス(ANA HD)とJoby Aviationは、本日、大阪・関西万博のEXPO Vertiportにおいて、電動垂直離着陸機(eVTOL)「Joby S4 ANA特別塗装機」によるデモ飛行記念式典を開催しました。このデモ飛行は、日本国内で初めて一般公開されたものであり、両社が目指すエアタクシーサービスの社会実装に向けた確かな一歩と位置付けられています。

デモ飛行は、Joby S4がEXPO Vertiportを離陸後、会場上空を約10分間飛行するという内容で実施されました。Joby S4は一般に「空飛ぶクルマ」として言及されますが、分類上は小型飛行機に該当します。この機体は電動で動作するeVTOLであり、ヘリコプターのように垂直に離陸し、その後、飛行機のように水平飛行を行う形態に移行する特徴を持ちます。

技術的な特徴として、Joby S4ゼロエミッションであり、特に高い静粛性を誇ります。離陸時は騒音がするものの、一旦飛行機のように水平飛行に移行すると、騒音はほとんど聞こえないレベルになります。本日のデモ飛行は、来場者に見やすい高度400メートル程度で実施されましたが、この高度では上空を見上げなければ気付かないほどの静かさであると説明されました。離陸時の騒音レベルは会話とほぼ同じ程度です。

また、高い安全性を確保するために、機体設計には冗長性が組み込まれています。推進力となるプロペラは6基あり、それぞれに複数のモーターが内蔵されています。さらに動力源となるバッテリーパックも4つ搭載されており、万が一モーターやバッテリーパックの一つが停止しても、飛行を継続できる構造となっています。機体はパイロットに加え、乗客4名まで搭乗可能で、最高時速は321kmに達します。

ANA HDの柴田浩二社長は、本日のデモ飛行を「単なる飛行実験ではない」とし、「エアタクシーサービスは空の移動革命である」と強調しました。例えば、関西国際空港から夢洲まで車で1時間程度かかるところを、エアタクシーを利用すれば10数分で到達します。また、道路に依存しないため、離島や山間部など、目的地が大きく広がる利点も挙げられました。

Joby AviationのJoeBen Bevirt CEOは、過去の万博が未来を切り開く革新的なアイデアを具現化してきたように、大阪万博は「空のモビリティ」という新たな交通手段の時代の幕明けを担っていると述べました。本日のデモ飛行は、アメリカのイノベーション、トヨタ自動車の生産技術による支援、そしてANAの協力が融合した結果であり、変革が起こることを証明する瞬間であったとしています。

商業化に向けた具体的なスケジュールについて、Joby Aviationは2026年にドバイでサービスを開始する計画が順調に進んでいると報告しました。一方、ANA HDは2027年度以降の商用化を目指していますが、この実現には、離着陸場(Vertiport)の整備や管制・オペレーション、規制面での環境設計といった要因を官民一体で並行して進める必要があるため、現時点での確定的な見通しは明らかではないとしています。想定される国内の運航ルートとしては、大阪では都心と関西空港を結ぶ路線や、淡路島など湾岸地域を渡る利用法が検討されています。

運賃水準については、都心でのタクシー運賃(都心から成田へ3万~5万円程度)に対抗できるような、競争力のある価格設定の実現を目指す方針が示されました。商用展開の立ち上げに必要な機体数は、日本国内での初年度の事業展開を想定すると、5から10機程度が必要になるとの見通しが示されています。

両社は、今回の万博でのデモ飛行を通じて、この新しい技術とサービスを一般に体感してもらうことが、将来的な商用化にとって極めて重要な一歩であると認識を共有しています。今後も、国土交通省、地方自治体、民間企業など、多くのパートナーの協力を得ながら、次世代の空の翼の実現に向けて着実に前進していくとしています。

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