家庭の廃油で飛行機が飛ぶ!✈️ 羽田空港で国産SAF供給開始!CO2約8割削減の「Fry to Fly Project」とは?

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日揮ホールディングス、東京都、全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)は2025年7月8日、廃食用油を原料とする国産SAF(Sustainable Aviation Fuel)の東京国際空港(羽田空港)での供給開始を記念したイベントを開催しました。これは、家庭で使い終わった油で航空機が飛ぶ世界を目指す「Fry to Fly Project」の一環であり、航空業界の脱炭素化に向けた重要な進展です。

SAFは「持続可能な航空燃料」を指し、廃食用油、バイオマス、都市ごみなどを原料として製造されます。製造から使用までのライフサイクル全体で、従来のジェット燃料と比較して約60~80%のCO2排出量削減効果が得られ、特に廃食用油からのSAFは約84%の削減が可能とされています。この燃料は、航空機や給油設備の変更なしに利用でき、ジェット燃料と混合しても性能や安全性は同等です。

この国産SAFは、日揮HD、コスモ石油、レボインターナショナルが共同で設立した合同会社SAFFAIRE SKY ENERGYが、大阪府堺市の製油所で量産しています。同社は日本のSAF製造事業者として初めてISCC CORSIA認証を取得しており、2025年4月には国内初の大規模製造設備が稼働しました。年間約3万キロリットルが生産され、関西、中部、羽田、成田などの主要国際空港へ供給される予定です。

東京都は、国産SAFの普及において主導的な役割を果たしています。羽田空港での供給開始記念イベントに登壇した小池百合子都知事は、「今こちら羽田空港におきましては国際便を中心に、国産の(SAF)供給が始まっております」と述べました。都知事は、このSAFが「ご家庭で使い終わったコロッケを揚げたり、天ぷらを揚げたりした後のお油を使いまして、そして、飛行機が飛ぶ」と話し、「CO2の排出量はジェット燃料と比べますと約8割と大幅なマイナスになる」と説明しました。さらに、「飛行機を見るたび『あ、うちの天ぷらの油で飛んでるな』と思うだけでも、非常に密接に感じられる」と都民に呼びかけ、「都民ひとりひとりの生活とフライトが密接に繋がっている」ことをイメージしてほしいと述べました。また、この環境配慮と資源の有効活用が、「長い江戸の文化、社会、構造と言ってもいいかもしれません。循環型社会がいかにサステナブルなものであるか」、日本の歴史的背景と結びつけて示しました。

東京都は、2024年3月より「東京 油で空飛ぶ大作戦 Tokyo Fry to Fly Project」を開始し、都民の廃食用油回収を促進しています。2025年5月からは東京2025世界陸上アスリートアンバサダーの北口榛花選手を起用した「家庭の油 回収キャンペーン」を展開し、都庁舎や区市町村に回収所を設置して廃食用油回収を強化しています。加えて、全国で初めて「国産SAF利用促進事業」を開始し、海外産SAFとの価格差を助成することで供給事業者を支援し、国産SAFの安定供給を後押ししています。小池都知事は、「今日のこの取り組みも参考にしまして国の(SAF)導入促進策の議論も始めていると伺っております」と述べ、東京都の先行事例が国の政策形成にも影響を与えていることを示唆しました。

航空業界は、国際民間航空機関(ICAO)が掲げる2050年までのCO2排出量実質ゼロ目標達成のため、SAFの導入と利用を重視しています。 ANAの井上慎一社長は、「小池都知事の強力なリーダーシップの下、行政の皆様からの多大なご支援をいただきながらSAFの利用促進が大きく前進していることに心から感謝を申し上げます」と謝意を述べました。ANAは昨年、東京都の助成を受けて羽田-八丈島便にSAFを搭載する取り組みを進め、これが「地方自治体の支援としてはアジア初」であったと紹介しました。 JALの赤坂祐二取締役会長は、家庭の廃食用油を航空燃料に転換する日本の市民の協力について「諸外国にない誇らしい例」であると強調しました。

質疑応答では、SAFの普及には価格面と供給量の課題が存在し、政府の政策的支援が重要であると指摘。家庭からの廃食用油回収の余地が大きく、市民の関心も高いと述べています。企業、自治体、そして市民が一体となって行動変容を促す「Fry to Fly Project」は、参加メンバーが開始時の29から現在200以上に拡大しており、今後も社会全体の合意形成と協力を通じて、脱炭素社会の実現に向けた大きな一歩となることが期待されると回答していました。

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