「困ったら中華」はもう古い

現地の名物も話のタネに

旅行先での楽しみのひとつといえば食事。「名物に美味いものなし」とはよく聞く話だが、海外に出かけたら日本ではなかなか食べられない、現地ならではの料理を食べるようにしている。

たとえば、ペルーのクイ・アル・オルノ。いわゆるネズミ(といってもモルモットに近い)の丸焼き。

見た目はネズミの開きといった感じ。ツメとか歯も残っているので、よく見るとグロテスク。肉自体は鶏肉に近い感じだが、特別に美味というわけではない。いわゆる体験としての食観光といったところ。

クイ・アル・オルノほどではないが、極力現地の料理を楽しむようにしているが、さすがに飽きてくることもある。ひとり旅のときは、めんどうなのでマクドナルドやケンタッキーなど日本にもあるファーストフードを利用することも。自分的には、これらファーストフードは「日本食」に分類している。

中華料理にハズレあり

欧米の食事に飽きてきたときに、昔からよく言われるのが「海外で中華料理屋にハズレなし」という格言。でも最近これはちょっと違うのではと思うようになってきた。フラッと入る中華料理が口に合わないことが多いのだ。

たしかに美味しい中華料理屋もある。ベルリンでひいきにしている中華料理屋はかなりレベルが高く、毎年10日ほどの滞在で2回は訪れるほど。

ただ特に評判など気にせずフラッと入る中華料理屋はハズレなことが多い。炒飯を頼んでもべちゃべちゃ。ただケチャップで味付けしただけ。焼売などの餡はグニャグニャといった具合だ。特に炒飯は、ミックスベジタブルに冷凍シーフードをまぜて、大量の油で炒めましたという感じ。はっきりいて不味い。

思うに、中華料理は世界に浸透しすぎてローカライズが進んでいるせいではないかと。コックも中国人ではなくレクチャーを受けたローカルが調理しているケースも多い。これは和食も同様。日本人以外がコックのため「なんだこれは!?」という経験も海外ではよく体験する。

狙い目はタイ料理

そこで欧州で現地料理に飽きたときは、タイ料理屋を見つけて行くようにしている。というのも、いまのところ欧州などで行った「タイ料理にハズレなし」なのである。

もちろんタイで食べるよりは割高だし、味も現地よりは落ちる。ただ下手なローカライズがあまりされていなく(ただし辛さは現地より控えめ)、しっかりとしたタイ料理が楽しめる。

なぜ本場の味に近いのか。タイ料理は今のところ、その国にきた本場のコックが作っているのではと考察している。中華料理ほどメジャーではないし、現地で料理できる人も少ないからかなと。

逆にもしタイ料理がメジャーになって、現地の人が調理するようになりローカライズが進んでしまうと、中華料理のようにハズレの店も増えてくるかも。ただ、そうなるにはもう少し時間の猶予はありそうだ。

というわけで、最近は「海外でタイ料理屋にハズレなし」という格言を広めている。ちなみにこのコラムに掲載しているタイ料理2点は、すべて海外のタイ料理店で食べたもの。本格的なタイ料理になっている。

とはいえタイ料理が苦手な人には、まったく通用しない格言なのだが……。ちなみにベトナム料理もこの傾向にあるので、最近は食事に困ったときはタイ料理とベトナム料理をGoogleマップで探している。

混んでる店はそれなりに理由がある

なんのヒントもなしに、海外でレストランを探すときに、いつもチェックしているのが混んでいるかどうか。似たようなお店が並んでいるにもかかわらず、なぜか空いてる店と混んでる店があるというのはよくあること。

並んでいるくらい混んでいると、待ち時間がもったいないので空いてる店を選んでしまうこともあるが、ここはやはり混んでいる店を選びたい。

混んでいる店はなにかしら理由があるはず。シェフの腕前がいいとか、そこでしか食べられない名物料理があるとか。ただそういった情報がなくても、混んでる店がオススメできる確実な理由がひとつある。

それは混んでる店ほど食材が回るので、新鮮な材料を使っているということだ。

熟成などの条件を除けば、食材の新鮮さは料理の旨さに直結する。空いている店だとどうしても食材在庫の回転が鈍くなり、新鮮さが落ちてしまうわけだ。

これがレストランを選ぶときに「混んでる店」を選んだほうがいい理由だ。

参考にするガイドブックは電子書籍で

ガイドブックが好きだ。こう断言できるくらい旅行で初めて行く地域の場合は、国内外を問わずガイドブックを買うようにしている。いや初めての地域でなくても最新版が出ていればついつい買ってしまうことも多い。

もちろん「ガイドブックに掲載されていることは、ネットでも調べられるし読めるよ」という意見があるのも分かる。実際旅程をたてたり、宿を探したりといった作業にはガイドブックは使わずにネットから作業することのほうが多い。

それでもガイドブックを買うのは、やはりいろいろな情報がまとめて収録されている雑多性が楽しいからだ。読んでいるだけで旅をしている気分になるので、過去に買ったガイドブックをお風呂場に持ち込み、入浴しながらのんびり読むなんてこともする。

レストランを探すときにも重宝するし、なにより現地で「何を食べればいいか」といった情報がわかりやすく載っているので、ウェブサイトでの情報が主流となった今でも、やはりガイドブックは便利だ。

そんなガイドブックだが、ここ数年でがらりと状況が変わった。電子書籍で購入できるガイドブックのラインアップが豊富になっているのだ。

きっちりと調べたわけではないが、電子書籍のラインアップが充実し始めたのは2014年に「地球の歩き方」の電子書籍版がリリースされたころからだと思う。当初はフランスだけだったが、今ではメジャーな国を数多くカバーしており、年度ごとに最新版も発売されている。

ガイドブックが電子書籍化していちばんありがたいのは、荷物がかさばらなくてもすむということ。5年前に27日間で世界一周をしたときには、6冊くらいのガイドブックを持って行った記憶がある。それだけでもスーツケースのスペースをとるし、なによりも紙は重たい。

前述のように、旅行に行く予定がなくてもお風呂などでガイドブックを読むことがあるので、ガイドブックは極力処分しないようにしているのだが、この世界一周のときはお土産なのでだんだんと荷物が増えていくこともあり、次の地域へ移動するごとに断腸の思いで捨てていった。

それが今では、何カ国分のガイドブックだろうとタブレットやスマホ1台に収まってしまう。これだけでも非常にありがたい。

さらに、海外に居ても手軽に購入できるのが◎。長期で旅行していると、急にスケジュールを変更して、予定にない国に行ってみることもよくある。こういうときに今までは日本語のガイドブックを買うことはできなかったが、電子書籍ならウェブサイト上からサクッと購入できる。

ちなみにガイドブックはテキストベースではなく、マンガなどと同じようにイメージデータベースで作られているものがほとんど。さらにマンガと違いカラーページも多いので、1冊のデータ量は大きい。そのため海外で購入した際には、ダウンロード方法に注意が必要で、モバイル通信を使うとパケットを消費してしまうので、ダウンロードの際は宿のWi-FiやApple Storeなどの無料サービスを活用している。

というわけでガイドブックはすっかり電子書籍版を購入するようになったのだが、閲覧性という点では、紙のガイドブックのほうが便利だと感じている。読書的な使い方なら問題ないが、調べ物をするために使うケースでは、現地ガイドのページと地図のページを行き来しながら読むことも多い。こういった使い方では必要なページに指を挟んでページを行き来するほうが早い。

このあたりの不便さを解消できれば、電子書籍のガイドブックはもっと使いやすくなるのだが……

この記事を書いた人
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海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けています。

旅人ITライターさとるとして、YouTubeでも活動しています。

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