ANAは2026年6月26日、第81回定時株主総会終了後に報道機関向けブリーフィングを開催し、5月19日に搭乗を開始した国内線旅客サービスシステムの移行に伴う不具合および混乱の状況、今後の対策について担当部署から説明が行われた。
今回の新システム(アマデウス・アルテア)導入は、国内線と国際線の旅客サービスシステムを統合しシームレスなサービスを提供することや、多様化するニーズへの柔軟な対応、運営体制の効率化を目的として実施された。2025年5月29日から新システムへの移行と国内線新運賃での販売が開始され、2026年5月19日に新システムによる搭乗が開始された。しかし、稼働直後からシステムエラーや問い合わせが急増し、6月3日の台風の影響も重なって混乱が拡大した。
会社側は、現状の課題を「Web・アプリの利便性低下」「問い合わせ窓口の混雑および対応遅延」「空港でのお待たせ時間の増加」の3点に分類している。 Web・アプリの利便性低下については、予約やオンラインチェックインに時間を要する、エラーで手続きが完了しないなどの事象が発生している。これに対し、システム処理の見直しや表示項目の削減等の改修を順次進めている。
また、領収書の出力形式に関する不満を受け、Web上で宛名変更や旅程情報の記載ができるよう改善を実施した。
問い合わせ窓口の混雑については、電話の逼迫やメールの返信に最大2ヶ月を要する事態が発生していた。これに対しては、グループ社員のべ2000名以上を応援要員として配置し、サポート体制を構築した。
Web機能の拡充やAIを用いたメール内容分析を導入した結果、メールの滞留は半減し、電話の着信数もピークとなった6月3日以降、週10%のペースで減少している。7月中には通常期の応答率への回復を目指している。
空港でのお待たせ時間の増加については、新しい運賃制度やシステム仕様の変更に対する係員の習熟不足が要因となっていた。全国の空港向けにサポート窓口の開設期間を延長し、問い合わせ事例を共有することで、業務習熟の課題は徐々に改善し、窓口の混雑も緩和傾向にあるという。
質疑応答では、システムの正常化時期に関する質問が集中した。
担当者は、6月末および夏休み前となる7月中に大規模なシステムリリースを実施し、オンラインチェックイン関連の不具合要因を特定している部分について、おおむね7月末までに解消予定と回答した。ただし、システムの改善自体はその後も継続していくとも説明している。
システムエラーの要因については、アマデウス側の仕様によるものと、ANA側のシステム処理の非効率性の両方が存在するとし、アマデウスのメンバーも加わったタスクフォースを立ち上げ、並行して改修を進めている。
事前の動作テストについては、ANA側が主体となって実施し動作確認を行っていたと説明した。しかし運用開始後、従来のカタカナ入力からローマ字入力への変更といったUI(ユーザーインターフェース)の変更に起因するユーザーの操作エラーが多発したほか、事前のテストでは想定しきれなかった新たなシステム内部のエラーが判明したという。
稼働当初に多発した決済に関する不具合についても、アクセス集中等により発生したと認識しており、優先順位を高くして対応していると述べた。 最後に、今週末に予想される台風への影響について問われると、新たなシステム上の課題は認識していないものの、電話窓口が再び繋がりにくくなる可能性はあるとして理解を求めた。

